Salamander " Retriever Throw Bag "

 

流されたり溺れている人を助ける場合、水に飛び込んでの救助は原則として行うべきではありません。要救助者に巻き込まれ、自分自身も命を落とす可能性が高くなります。
パックラフティングではホールに発生するバックウォッシュ(反転流)に巻かれて脱出できなくなったり、急流に流されてしまう事が起こります。この様な場合、ロープが無ければなすすべもありません。
水上救助に使用するロープは、必ずフローティングロープである必要があります。水の中に沈んでしまうと要救助者はロープを掴む事ができないし、川底に引っかかったり、水の中で要救助者に絡まってしまう可能性も考えられます。こうなれば、事故の状況はより深刻化してしまいます。必ずフローティングロープでなければなりません。

 

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フローティングロープを岸から要救助者に届かせるには、スローバッグが必要です。
スローバッグとは水難救助の為に開発された専用の道具で、浮力体を組み入れたスタッフバッグにフローティングロープを入れ、岸から要救助者までロープの入った袋ごと投げる事で遠くまでロープを飛ばす事ができるものを言います。
パックラフティングでは舟から落ちて急流を流されることは日常茶飯事であり、ダウンリバーを行う際にスローバッグを持たないのは、もはや自殺行為とも言えます。
スローバッグの携行と適切な運用技術の習得は、ダウンリバーを行う上での必須条件です。

 


 

スローバッグは腰に巻いて携行すべきです。いつでも手元にロープがあることで緊急時にも対応できるもの。水難救助の世界では常に腰にスローバッグを装備するのが常識となっています。

ただ腰にロープが装備されているということは、自分が流されている時に万が一ロープが流出してどこかに引っかかってしまうと、体に動水圧がかかって水に沈められてしまう危険があります。
この為、スローバッグはクイックリリースバックルが取り付けられたベルトで腰に装着し、緊急時に簡単にリリースして脱出できる状態にしておかなければなりません。

 

 

またパックラフティングでは要救助者のレスキューだけでなく、流されたパックラフトやパドルの回収を行わなければならない場合もあります。
パドルは自分のパックラフトに入れてしまえば良いですが、無人のパックラフトはそうは行きません。手でパックラフトを持ったままパドリングする訳にもいかないので、ロープで繋いで牽引する必要が出てきます。

 

この時、15mもロープが出てしまってはコントロールできません。
自分のパックラフトのスターンの長さ、牽引するパックラフトの先端からロープを繋ぐグラブループの長さ、舟と舟の間隔を考慮すると、2m ちょっとの長さの牽引ロープがすぐ出せると便利です。

ただ牽引時こそ、ロープが何かに引っ掛かり、動水圧を受けて身動きが取れなくなる可能性も高くなります。レスキューの際と同じく、牽引ロープもまたクイックリリースベルトで緊急脱出できる状態にしておかないと危険です。

スローバッグは各社から様々な製品が販売されていますが、山童では サラマンダー の " レトリーバースローバッグ " を推奨。フローティングロープ、牽引ロープ、カラビナ、スローバッグ、クイックリリースベルトがすべて一体になった製品となっており、無駄がありません!


内部には18mのロープが納まっており、スローロープとして15m、牽引ロープとして2.5m、カラビナの接続などによる結びで0.5mのロープを使用。実にちょうど良い。

結びでロープの固定位置を制限しているので、内部の結び位置を変える事でスローロープと牽引ロープの比率を変える事もできます。ダウンリバーではスローロープ16m、牽引ロープ1.5mくらいの方が扱いやすいでしょう。海で使用するなら、牽引ロープは4 ~ 5m程度あっても良いかもしれません。状況によって調整できます。


さらに牽引用ロープのカラビナを収納するポケットまでついていて、ほんと合理的な設計になってます。

 

内部は結びで穴を通過しない構造。結び位置で長さ比率を変えられます。

 

ダウンリバーでカラビナが何かに引っ掛かるのを防止する収納ポケット。

 


スローバッグは通常レスキューの為に使われる道具ですが、休憩時にパックラフトを係留しておく為に使用したり、ツェルトやタープなどを設営するのにも使用します。

 

以前、急流のど真ん中にある岩にラップしてしまい、どうにかパックラフトを引き離したけど、自分だけ岩の上に取り残されてしまった事があります。源流のゴルジュで両岸は壁。仲間はすでに下流にいて、手を借りることは難しそう。
腰に装備していたロープを岩にかけて、それを手がかりにどうにか急流の渡渉に成功!
必死に岩を攀じ登り、ゴルジュの先のとろ場の側壁に弱点を見つけ、ロープを手がかりにどうにか川まで下降しました。あの時、腰にスローバッグが装備されていなければ、脱出は困難だった可能性もあります。

初心者を湖に連れて行った時、途中で風が強くなってきた事があります。
前にも後にも進めず、まともに漕げなくなってしまった初心者のパックラフトに牽引ロープを繋ぎ、必死に漕いで岸まで戻った事もありました。

この時も、スローバッグが装備されていなければ、彼はどうなっていたでしょう?

 

単にスイフトウォーターレスキューの為だけでは無い、様々なシーンでパドラーを助けてくれる道具です。

 

ベルトはクイックリリースシステム。赤い球を引けば緊急脱出できます。

 

メインロープが流出しないよう、フラップで閉じられています。

 


帰宅後の片付けの際も、道具が一つにまとまっている事で手間が大きく低減します。
なんせ使おうが使うまいが、必ずびちょびちょに濡れてしまうのがスローバッグの悲しい宿命。

塩素が含まれない真水で濡れたロープが小さな袋に詰まったまま押し込まれていたら、中心部はいつまでも乾かずにやがて異臭を放ちます。当然ロープやバッグの耐久性も低下するでしょう。

使用後は水道水で洗ってしっかりと乾かさなければなりません。
この時、ロープやスローバッグ、ベルトが別体になっていると、その分洗う手間が増します。
全部一体になていればまるっとまとめて水洗いし、そのまま乾かせばOK!
大きく手間が減ります!!

 

たらいに水を張り、繊維の内部の砂を落とすイメージで押し洗いします。

 

そのまま風通しの良い場所で乾かせばOK!

 


スローバッグはただ単に持っていれば良いものでは無く、適切な訓練を行わなければまともに使える様にはなりません。

身近に経験者がいれば一緒に練習をしても良いと思いますし、ガイドやインストラクターが行っている講習会、専門的なスイフトウォーターレスキューの資格取得課程を受けて技術習得するのも良いでしょう。

山童でも 初心者講習会 を通じて使用方法の指導を行っています。

いずれかの学習機会を設け、使い方を習得しておきましょう!

 

いずれにせよ、スローバッグはダウンリバーにおいて絶対に必要な道具です。必ず携行しなくてはなりません。
できればフラットウォーターにおいても、あった方がなにかと安心です。
そして買うなら、レトリーバースローバッグが便利だと思います。おすすめですよ!


製品データ

 

重さ:675 g (実測)

サイズ:本体 25.4×10×7.6cm、ロープ φ8mm×18m ( 救助15m / 牽引2m / 結び1m )

素材:ロープ ポリプロコアライン、バッグ コーデュラナイロン、カラビナ アルミアルマイト処理

耐荷重:450kg


Salamander " Retriever Throw Bag "

 

※ ご配送一個口あたりの合計金額が 30,000円 以上の場合、送料無料!

※ パックラフトと同時注文の場合、原則として同時発送させて頂いております。

※ 取り急ぎお求めの場合、お手数ですがパックラフトと別口でご注文願えます様お願いします。

 

 ( 税込価格 20,350円 )

¥18,500

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