パックラフトのパドルの選び方

 

パックラフトを始めようと思った時、パックラフトの次に悩むのがパドルの選択ではないでしょうか?
パドルスポーツに使用されるパドルは大きく分けて2種類。シングルブレードパドルとダブルブレードパドルがあります。シングルブレードパドルとは、カヌーやラフティングなどに使用されるもので、シャフトの片側にのみブレードがついたものになります。一方ダブルブレードパドルとは、シャフトの両側にブレードがついたものを言います。主にカヤックで使用されます。

パックラフトはその名前や形状からラフティングボートの小型のものである印象を受けます。確かに乗り味や舟の動きなどはラフティングボートのそれに近いのですが、分類としてはインフレータブルカヤックの一種です。
パドルもダブルブレードパドルを使用します。

 

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一般的にカヤックでは2ピース、もしくは1ピースのパドルが使用されます。

車での運搬が前提となるカヤックでは、車のトランクに横向きに詰める2ピースが好まれます。現地に艇庫(カヤックの月極駐車場もたいなもの)を借りている方や、競技でカヤックをされる方は、より軽量で頑強な1ピースを選択する方もいます。

パックラフトではさらに分割数を増やした、4ピースのパドルが好まれます。

 


パドルは分割数が増えることで重量が増し、強度面でも不利になります。それでもパックラフターのほぼ全員が4ピースパドルを選択するのは、その携行性にあります。

 

 

パックラフトの特徴は " バックパックにパッキングできるほどに軽量コンパクトなボート " であること。

そもそもダウンリバー性能や遠距離航行性能などを追求するなら、それぞれの特性に見合った専用のカヤックを購入すべきです。より楽に海釣りをしたいなら2馬力ミニボートの方がより快適でしょう。でもこれらの運搬には車に専用キャリアを取り付けたり、別途運搬用のトレーラーを取り付けたり。準備も片付けもとても大変。

この為に自艇を所有できない方も多いでしょう。

 

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パックラフトはバックパックひとつで現地に向かい、準備も片付けも楽々行える手軽さが最大のメリット。パドルだけ大きいければ、最大の魅力である携行性の高さが半減します。

1ピースや2ピースのパドルに比べて少し重くなったとしても、4ピースモデルを選択すべきでしょう。

 

 

パドルの形状には、ダウンリバー用(手前のパドル)とフラットウォーター用(奥のパドル)があります。
ダウンリバー用パドルのブレードは短く太い形状をしています。広い面積で流れをキャッチし、一気に向きを変える瞬発力があります。激流のホワイトウォーターで次々と現れる障害物を突破する上で、スプリントなパワーが求められる為にこの様な形状をしています。
一方でフラットウォーター用のモデルは細長く作られています。一回のストローク距離が長くなることで、一漕ぎで進む距離を長くしてくれます。細くなることで水の抵抗を減らし、腕にかかる負担も軽減してくれます。また瞬発的なパワーが出にくい分、船体を回転させる力が弱く、効率良く前へ前へと舟を進めてくれます。

もちろんダウンリバー用のパドルを海や湖で使うこともできますが、パックラフトが左右に振られながら前に進みやすい傾向があり、また1漕ぎ1漕ぎが重く疲れやすくなります。同じ様にフラットウォーター用のパドルを川で使うこともできますが、急流ではパワー不足を感じるし、狭いクリークエリアや川底が浅い瀬などでは、長すぎて扱いにくく感じます。
主にどちらのフィールドをメインとするかでパドルの選択をすると良いでしょう。

 

ただ海や湖で使用する場合、両方用意するのも良いと思います。

長く使っていると気がつかない間にパドルに疲労が蓄積し、ある日突然折れる場合があります。すぐに岸に寄れる川と違い、広い湖や海では身動きがとれなくなります。

このリスクは避けようが無いので、万が一に備えて少なくともチームに1本は必ず予備パドルを用意すべきです。
パックラフトを買ったのにダウンリバーを経験しないのも勿体無いので、ダウンリバー用パドルも同時に買っておいて損はないでしょう。

 

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そもそも海や湖でパックラフトを使用する目的の多くは釣りだと思います。しかしパックラフトは決してフラットウォーターに適した舟ではありません。風の影響を受けやすく、風速3mを超える様な風であれば沖には出るべきではありません。
パックラフトのもう一つの大きな魅力の一つに、様々なフィールドで使用できる点があります。少なくとも山童のパックラフトであれば、どの船種も、得意不得意こそあれ、海、湖、川で使用できます。
海釣りを行おうと思っていたけど、明日は風が強いから川釣りに変更しようとか、雨が降りそうな予報だから湖でワカサギを釣ったり、対岸の陸路アクセス困難な渓流に渡ってイワナを狙おうなど、違う釣りに切り替えることで遊びの幅をさらに広げられます。

 

 

パドルには、ブレードの素材としてカーボン、グラスファイバー、ABS。シャフトの素材としてカーボン、ブラスファイバー、アルミがあります。
カーボン素材はとても軽く、硬い素材です。歪みが無いのでパワーが逃げず、パドリング効率が高い事がメリットです。グラスファイバーはカーボンよりしなりが出る素材になりますが、その分丈夫で割れにくい素材だと言えます。重量的にはカーボンより少し重くなります。ABSプラスチックブレードやアルミシャフトはかなり丈夫な素材になりますが、重量的にかなり重く、安価な一部のモデルに採用されるものではありません。

山童では、パックラフトに選択すべきパドルはカーボン一択であると考えています。

性能面で考えればカーボンに圧倒的な優位性があります。強度面においては確かに大きな負荷がかかると破損しやすい傾向にありますが、程度の差こそあれそれは他の素材も同じ。ずっと使っていればいつか必ず壊れます。
安全面で考慮すべきことは、海や広い湖で沖に出るときには必ずチームに一本は予備パドルを持つ。これに尽きます。であれば、選択すべきは性能的に優位なカーボンパドルであると山童では考えています。

 

 

 

・バックパックに収まる4ピースパドルを選択すべきである。

・メインで使うフィールドに合わせた形状を選択すべきである。

・海や広い湖で沖に出るときは予備パドルを持つべきである。(岸に近いところであれば必須では無い。)

・カーボン素材が軽くてパドリング効率が高いので理想。

 

 

これらを踏まえ、山童ではマーシャスの4Pカーボンパドルを取り扱っています。

様々なブランドのパドルを実際に使って試しました。確かに高級ブランドのパドルはより良質なのですが、だからと言ってずば抜けてパドリング効率が高いわけではありません。質感が良かったり、接合部のガタがより少なかったり、素材が美しかったりなどの差であり、特段性能が高いわけではありません。一方でもっと安価な製品もある訳ですが、今度はあまりに重かったり、ガタが大きかったりと製品的に満足できるものではありませんでした。

同価格帯の製品の中で、重量が特に軽く、製品のクオリティとして満足できたのがマーシャスでした。

 

 

まず第一条件として性能面で十分な満足ができるレベルの製品であること、その上で、どうしても壊れるリスクを伴う道具だからこそあまり高過ぎない製品であること。
そのバランスが重要なのでは無いかと山童では考えています。(自社のパックラフトは妥協無しの最高品質を目指していますが、その周辺機材の仕入れは、価格と性能のバランスを考えたベターな選択をしているつもりです。)

 

以上、パドルの選び方についてでした!
皆様のパックラフト用パドル選びのひとつの参考にして頂ければ幸いです。


ではまた。