パックラフティングに必要な装備

 

一言に " パックラフティング " と言っても、どんな活動をするかによって装備内容は変わってきます。
" 源流 " を用いて山行を交えた源流域下降を行うなら、登山装備に加えて懸垂下降やゴルジュの登攀を含めたクライミング装備が必要になるかもだし、川旅ならキャンプ道具、ダム湖のバックウォーターで大物狙いをするなら釣具が必要でしょう。
ここではどんなパックラフティングを行う上においても、必ず必要となる道具についてご紹介して行きます。

 


 

パックラフト

 

言うまでもありませんが、パックラフトが必要です。ただ本当にパックラフトである必要があるのかを、始める前に考えた方が良いかも知れません。
例えばダウンリバー限定で言えば、ダウンリバーカヤックの方が舟としての性能に優れます。車に乗せたり自宅での保管が問題なだけならダッキーという選択もあります。パックラフトは、これらの舟に比べ、ダウンリバー性能でやや劣ります。
海や湖においても、シーカヤックやファルトボート、川旅においてもカナディアンカヌーなどたくさんの選択肢があり、専門性と高性能を求めるならばこれらの舟の方が優れています。

パックラフトの最大の魅力は、これらのどの舟に比べても、圧倒的に軽量コンパクトであること。そして初心者でも簡単に始める事ができ、すべてのフィールドにおいて使用できることにあると思います。(良くも悪くも中途半端な優等生タイプなのです。)
同じインフレータブルボートであるダッキーと比べた場合、ダッキーが大凡15kg程度だとすると、パックラフトは僅か3kg程度。収納サイズも圧倒的に小さくなります。

パックラフトを選択すべき理由は、背負って移動する活動に使うかどうかにあると思います。
激流下りに使用する " 高山流水 " は5kg前後とやや重くなりますが、それでも登山道がある山なら奥深くまで背負って持って行き、長高難度な激流を攻めることもできます。電車やオートバイで近郊のダウンリバーに行ける気軽さも魅力です!
セミタンデムの " 明鏡止水 " も4kg程度となりますが、例えば海岸線沿いをツーリングしながらのキャンプを行うとすると、バス停から出艇場所と上陸場所から駅までなど、徒歩で背負って歩かなければならないかも知れません。バイクラフティングなら、舟を背負って自転車を漕ぐことになります。この舟が3.5kgなら運べるかも知れませんが、15kgは厳しいでしょ?

この様に、" アクティビティ × 舟 = 背負って歩ける軽量コンパクト性 " 、又は " 電車やバスなどの公共交通機関を使用してのダウンリバー " などの条件が揃う時、もっとも優れた舟となります。車移動が前提で、自分自身が行う舟のジャンルが明確化されていて、舟としての性能をとにかく求めるならば他の舟を選んだ方が良いかも知れません。
とは言え、山童のパックラフトは各ジャンルの専門性を深掘りして研究し、それぞれの用途において専門の船種に負けじ劣らずの性能を備えています。特にパドルスポーツ初心者の場合は、パックラフトの方が簡単に楽しめて良いのではないかなと、パックラフト屋さんてきには思うのです。
大真面目に、人生観変わるほどに素晴らしい体験が待ってますよ!


 

パドル

 

パックラフトを前に進めるためには絶対に必要な道具です。パックラフトは一人乗りのラフティングボートの様な舟ですが、カヤックと同じダブルブレードパドルを使用します。
ブレードに使用される素材として、プラスチック、グラスファイバー、カーボンファイバー。シャフトに使われる素材としてアルミ、グラスファイバー、カーボンファイバーがあります。また強度に優れる1ピースパドル、車のトランクに横向きに積める2ピースパドル、バックパックに収まる4ピースパドルがあります。パックラフトで使用する場合、その特性に合わせて軽量なカーボンファイバー製の4ピースパドルが適した選択であると山童では考えています。
ダウンリバーにおいては短くて太いブレードのパドル、フラットウォーターでは細長いパドルを選択するとより適しています。パックラフトの種類以上にパドルの特性の差の方が大きい差が出ますし、パックラフトは得意不得意はあれどどんなフィールドでも使える舟。両方持っておいて、使用状況に合わせて選択するのが適しています。
山奥に入る場合、大きな湖を横断したり海岸線ツーリングを行う様な場合には、パドルの流出や破損は遭難に直結します。これらのアクティビティを行う際は、チームに1本は予備のパドルを用意できると安心です。


 

PFD

 

PFDとはパーソナルフローティングデバイスの略で、いわゆるライフジャケットを指します。
海難事故救助要請のおいては、PFD着用時の生存率は84%、未着用時の生存率は24%。河川や湖での水難事故救助要請では、PFD着用時で90%、未着用時で40%とされています。PFDの着用の有無で生存率は2~3倍もの差があります。特に河川においては、どんなに泳ぎがうまくても必ず沈みます。絶対にPFDの着用は必須です!

頭部が完全に水面に出るには体重の10%の浮力が必要とされています。例えば体重80kgだった場合、PFDに求められる浮力は8kgとなります。
パックラフトの様なインフレータブルボートの場合、フリップした際は再乗艇が求められます。川に流されながら素早くパックラフトに戻るには、お腹周りに張り出したポケットなどの出っ張りは無い方が有利です。すっきりとしたデザインのPFDがパックラフトには求められます。


 

ヘルメット

 

海や湖では無くても良いかもですが、河川においては原則として着用すべきです。自転車やオートバイ、クライミングなどに比べ、頭部に受けるダメージはそこまで大きいとは言えませんが、それでも頭部保護が重要とされるのには理由があります。
転倒したり川に流されて岩に頭をぶつけると、脳震盪によって意識消失したり、そうで無くてもフラフラとまともに歩けなくなるのは想像できると思います。つまり、泳ぐこともまともにできなくなります。水の中で頭を打つことで、そのまま溺れてしまうリスクが高くなるのです。
海や湖ではそこまで岩に頭を打つ可能性も高くないので着用の必要性は高くないかも知れませんが、河川においては仮にゆったりとした川旅であっても、波が立ったり、瀬があると言う事は十分に頭を打ちつける可能性がある水深に岩が存在すると言うこと。ヘルメットの着用も、命を守る上でとても重要です。


 

スローバッグ

 

ダウンリバーにおいては特に重要な装備となるのがスローバッグです。スローバッグとは水に浮くフローティングロープをスタッフバッグに詰めたもので、遠くまで投げてロープを送る事ができる道具を指します。
フリップして舟と人が離れてしまった場合、簡単には流れから脱出できない場合もあります。この様な時、他の仲間が下流に先回りし、スローバッグを投げて要救助者を岸に寄せなければ時に命に関わる場合もあります。特に源流域における滝、急流における瀬などにおいては、そこを通過する際に予めスローバッグによる救助体制を整えておく必要があります。
フラットウォーターにおいては必須と言うほどの装備ではないかも知れませんが、仲間の舟の牽引、舟の係留にあると便利です。絶対にダウンリバーはやらないと言う人以外は、基本的に持っておくべき装備です。


 

リバーナイフ

 

スローバッグを使う場合、必ずワンタッチで取り出せるナイフを備えておく必要があります。

救助の為に投げたロープが体に絡まり、動水圧によって水に沈められてしまう場合もあります。この様な時、素早くロープを切断できなければ溺死するリスクが高くなります。
滅多に使う機会のない道具ではありますが、いつ緊急脱出の為にナイフが必要になるか分かりません。いつでも必ずすぐに取り出せる場所にナイフを備えましょう。ワンタッチで取り出せるリバーナイフが理想です。


 

ホイッスル

 

ダウンリバーでは水の流れる音で驚くほど声が聞こえません。仲間に指示を出すにはリバーサインを行いますが、その為にも仲間に自分を見てもらう必要があります。
ホイッスルは一般的に内部にコルクの球が入ったものを使用しますが、水に濡れるとこの手のホイッスルは音が出なくなります。水に濡れてもすぐに音が出る、球なしタイプのホイッスルを使用しましょう。

山童でPFDを購入頂いた方には特典サービスさせて頂いております。

 


 

パンク修理キット

 

パックラフトは丈夫な生地でできていますが、インフレータブルボートなので常にパンクの危険はあります。山童のパックラフトはチューブ2気室に加え、ボトム一体型インフレータブルフロアを採用した実質3気室なのでそう簡単に沈むことはありませんが、パンクを修理できなければ旅の継続はできません。
パックラフトは小さな穴であれば、その場で簡単に応急処置ができます。穴が空いた箇所(多くの場合、運搬時やポーテージの際に陸上で棘などを刺してパンクするので、小さなピンホールである事が多い)を探し出し、乾いたタオルで拭いて湿気を取り除きます。穴の上からダクトテープを貼る事で、再度空気を入れても漏れなくなります。

山童でPFDをお求めの方には特典サービスでご提供させて頂いております。

 

Amazonリンク

 

山童では取り扱いのない商品なので、下記にAmazonリンクを貼っておきます。

※ 大きな穴の場合、パックラフトに付属のリペア生地を使用して、自宅でしっかりと補修を行う必要があります。


ゴリラテープ(ダクトテープ)

セーム(吸水タオル)

アクアシールFD(リペア生地貼り付けにおすすめの接着剤)


 

これらに加え、それぞれのアクティビティを行う上で必要な装備を揃えます。

自然の中、それも水の上で活動するパドルスポーツは、常に危険と隣り合わせである事を忘れてはいけません。そして装備の有無、それぞれの道具の使い方や救助技術の訓練などによって、そのリスクはコントロールできます。
どこまで行っても完全にリスクを無くす事はできませんが、限りなく小さくする事はできます。
安全に楽しく遊ぶ為にも、道具の用意と技術の習得をしっかりと行いましょう!!