パックラフトの遊び方は様々ですが、
① まずは講習を受講しよう!
言うまでもありませんが、パックラフトが必要です。ただ本当にパックラフトである必要があるのかを、始める前に考えた方が良いかも知れません。
例えばダウンリバー限定で言えば、ダウンリバーカヤックの方が舟としての性能に優れます。車に乗せたり自宅での保管が問題なだけならダッキーという選択もあります。パックラフトは、これらの舟に比べ、ダウンリバー性能でやや劣ります。
海や湖においても、シーカヤックやファルトボート、川旅においてもカナディアンカヌーなどたくさんの選択肢があり、専門性と高性能を求めるならばこれらの舟の方が優れています。
パックラフトの最大の魅力は、これらのどの舟に比べても、圧倒的に軽量コンパクトであること。そして初心者でも簡単に始める事ができ、すべてのフィールドにおいて使用できることにあると思います。(良くも悪くも中途半端な優等生タイプなのです。)
同じインフレータブルボートであるダッキーと比べた場合、ダッキーが大凡15kg程度だとすると、パックラフトは僅か3kg程度。収納サイズも圧倒的に小さくなります。
パックラフトを選択すべき理由は、背負って移動する活動に使うかどうかにあると思います。
激流下りに使用する " 高山流水 "
は5kg前後とやや重くなりますが、それでも登山道がある山なら奥深くまで背負って持って行き、長高難度な激流を攻めることもできます。電車やオートバイで近郊のダウンリバーに行ける気軽さも魅力です!
セミタンデムの " 明鏡止水 "
も4kg程度となりますが、例えば海岸線沿いをツーリングしながらのキャンプを行うとすると、バス停から出艇場所と上陸場所から駅までなど、徒歩で背負って歩かなければならないかも知れません。バイクラフティングなら、舟を背負って自転車を漕ぐことになります。この舟が3.5kgなら運べるかも知れませんが、15kgは厳しいでしょ?
この様に、" アクティビティ × 舟 = 背負って歩ける軽量コンパクト性 " 、又は " 電車やバスなどの公共交通機関を使用してのダウンリバー " などの条件が揃う時、もっとも優れた舟となります。車移動が前提で、自分自身が行う舟のジャンルが明確化されていて、舟としての性能をとにかく求めるならば他の舟を選んだ方が良いかも知れません。
とは言え、山童のパックラフトは各ジャンルの専門性を深掘りして研究し、それぞれの用途において専門の船種に負けじ劣らずの性能を備えています。特にパドルスポーツ初心者の場合は、パックラフトの方が簡単に楽しめて良いのではないかなと、パックラフト屋さんてきには思うのです。
大真面目に、人生観変わるほどに素晴らしい体験が待ってますよ!
② 静水で何度もパドリング練習しよう!
パックラフトを前に進めるためには絶対に必要な道具です。パックラフトは一人乗りのラフティングボートの様な舟ですが、カヤックと同じダブルブレードパドルを使用します。
ブレードに使用される素材として、プラスチック、グラスファイバー、カーボンファイバー。シャフトに使われる素材としてアルミ、グラスファイバー、カーボンファイバーがあります。また強度に優れる1ピースパドル、車のトランクに横向きに積める2ピースパドル、バックパックに収まる4ピースパドルがあります。パックラフトで使用する場合、その特性に合わせて軽量なカーボンファイバー製の4ピースパドルが適した選択であると山童では考えています。
ダウンリバーにおいては短くて太いブレードのパドル、フラットウォーターでは細長いパドルを選択するとより適しています。パックラフトの種類以上にパドルの特性の差の方が大きい差が出ますし、パックラフトは得意不得意はあれどどんなフィールドでも使える舟。両方持っておいて、使用状況に合わせて選択するのが適しています。
山奥に入る場合、大きな湖を横断したり海岸線ツーリングを行う様な場合には、パドルの流出や破損は遭難に直結します。これらのアクティビティを行う際は、チームに1本は予備のパドルを用意できると安心です。
③ 仲間を見つけよう!
PFDとはパーソナルフローティングデバイスの略で、いわゆるライフジャケットを指します。
海難事故救助要請のおいては、PFD着用時の生存率は84%、未着用時の生存率は24%。河川や湖での水難事故救助要請では、PFD着用時で90%、未着用時で40%とされています。PFDの着用の有無で生存率は2~3倍もの差があります。特に河川においては、どんなに泳ぎがうまくても必ず沈みます。絶対にPFDの着用は必須です!
頭部が完全に水面に出るには、概ね体重の10%の浮力が必要とされています。例えばネオプレーン素材のパンツとベストを着用したとします。この厚さが2mmだった場合、概ね体重の2%程度。体重80kgだった場合、1.6kg程度の浮力となるので、PFDに求められる浮力は概ね6.4kg程度必要になります。
もちろん浮力は高ければ高いほど安全ではありますが、その分大きく嵩張るので、動きに制限が出たり、携行性に問題が出たりします。全身が濡れるウォーターアクティビティにおいて、溺水と同じくらい怖いのが低体温症。その低体温症を防ぐためにも、ウェットスーツやドライスーツの着用をすべきです。それらの浮力とPFDの浮力を合算した上で、体重の10%程度を満たす浮力を備えましょう。
できればクイックリリースベルトを備えた、チームレスキューに使用できるものが理想です。
④ ダウンリバーに挑戦!!
海や湖では無くても良いかもですが、河川においては原則として着用すべきです。日本ではハーフヘルメットが主流ですが、ヨーロッパやカナダなどにおいては、ダウンリバーでフルフェイスヘルメットを着用する事が主流となりつつあるほどです。
自転車やオートバイ、クライミングなどに比べ、頭部に受けるダメージはそこまで大きいとは言えませんが、それでも頭部保護が重要とされるのには理由があります。
転倒したり川に流されて岩に頭をぶつけると、脳震盪によって意識消失したり、そうで無くてもフラフラとまともに歩けなくなるのは想像できると思います。つまり、泳ぐこともまともにできなくなります。水の中で頭を打つことで、そのまま溺れてしまうリスクが高くなるのです。
海や湖ではそこまで岩に頭を打つ可能性も高くないので着用の必要性は高くないかも知れませんが、河川においては仮にゆったりとした川旅であっても、波が立ったり、瀬があると言う事は十分に頭を打ちつける可能性がある水深に岩が存在すると言うこと。ヘルメットの着用も、命を守る上でとても重要です。
⑤ 救助訓練も定期的に行おう!
ダウンリバーにおいては特に重要な装備となるのがスローバッグです。スローバッグとは水に浮くフローティングロープを浮力のあるスタッフバッグに詰めたもので、遠くまで投げてロープを送る事ができる道具を指します。
フリップして舟と人が離れてしまった場合、簡単には流れから脱出できない場合もあります。この様な時、他の仲間が下流に先回りし、スローバッグを投げて要救助者を岸に寄せなければ時に命に関わる場合もあります。特に源流域における滝、急流における瀬などにおいては、そこを通過する際に予めスローバッグによる救助体制を整えておく必要があります。
フラットウォーターにおいては必須と言うほどの装備ではないかも知れませんが、仲間の舟の牽引、舟の係留にあると便利です。絶対にダウンリバーはやらないと言う人以外は、基本的に持っておくべき装備です。
⑥ 憧れのアクティビティに挑戦しよう!
スローバッグを使う場合、必ずワンタッチで取り出せるナイフを備えておく必要があります。
救助の為に投げたロープが体に絡まり、動水圧によって水に沈められてしまう場合もあります。この様な時、素早くロープを切断できなければ溺死するリスクが高くなります。
滅多に使う機会のない道具ではありますが、いつ緊急脱出の為にナイフが必要になるか分かりません。いつでも必ずすぐに取り出せる場所にナイフを備えましょう。ワンタッチで取り出せるリバーナイフが理想です。