オープンデッキとスプレーデッキ

 

パックラフトのデッキは、オープンデッキとスプレーデッキの2種類に分けられます。

ダウンリバーカヤックの様にスプレースカートでボートと体を繋ぎ、内部に水が侵入しない様になっているものをスプレーデッキと言い、完全にオープンな状態のものをオープンデッキと言います。

 

内部に水が侵入すると、当然ボートの重量が重くなります。大量に水が入ればバランスを崩す原因になったり、ホールに捕まって巻かれるリスクも上がります。
セルフベイラー(自動排水機構)があれば内部に水が入っても勝手に抜けていきますが、舟底に穴が空いているので喫水の深さまでは水が侵入してきます。その分重量は増すし、セルフベイラーからの水の出入りに伴う抵抗も大きく、舟足は遅くなります。

 

チューブの上にカバーがあり、水が内部に入らない。

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剥き出しな為、内部に水が侵入する。

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スプレーデッキがあることで内部に水の侵入を防ぐ事ができます。船体重量は常に一定だし、セルフベイラーである必要がないので高い浮力を保てます。水の抵抗も減るのでスピードも早くなります。
高難度な激流のダウンリバーを行う上で、絶対的な性能が得られるメリットがあります。

 

ではスプレーデッキが正義なのかと言うと、そうとも言い切れません。
パックラフトの場合、オープンデッキであるメリットも大きいんです。

 

 

日本の川の場合、滝や瀬などでスカウティング(下見)をしたり、堰堤などにより断続的にポーテージ(迂回)する事が求められます。この様な時、スプレーデッキはスカートの脱着が手間になります。

当然運搬時にもデッキの生地やフレーム、スプレースカートの分嵩張るし重くなります。

ではスプレーデッキはデメリットが多いから避けるべきなのかと言うとそうでもなく、舟としての絶対的な性能の高さを追求するなら、やっぱりスプレーデッキがある方がより良いのは間違いありません。超高難度な激流のホワイトウォーターをダウンリバーするなら、スプレーデッキのパックラフトの方が圧倒的に有利です。

 

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日本の川で " 旅 " や " 冒険 " を主な目的として使うのであれば、オープンデッキの方が使いやすいでしょう。山童のパックラフトでもラインナップのほとんど全てがオープンデッキです。
しかし " スポーツ " を目的にするのであれば、選択肢はスプレースカート一択になります。舟としての性能を物理的に考えた場合、圧倒的に優位性があります。
どちらが優れているわけでもなく、使用目的に合わせた選択が重要です。